9月分研修レポート
皆様ご無沙汰しております。Yudaiです。
オーストラリアでの研修も折り返し地点を過ぎ、この生活の終わりを想像することが増えてきました。
自身の能力が向上していることを実感することは多くありませんが、日本では得られなかった経験が自身を変えたとは断言できるようになりました。
今回は以下の内容をお届けします。
Ø オーストラリアの交通事情
² ナンバープレート
l ナンバープレートの基礎知識
l ナンバープレートのカスタマイズ
ü PPQでのナンバープレートカスタマイズ
ü 紹介動画および和訳
ü ナンバープレートの売買
l 特徴的なナンバープレートの紹介
Ø 整備
² ホイールアライメント
l トー
ü 役割
ü 調整方法
l キャンバー
ü 役割
l キャスター
ü 役割
l SAI
l キングピンオフセット
ü 役割
Ø 最後に
Ø オーストラリアの交通事情
ここからはオーストラリアで使用されるナンバープレートの基礎知識とカスタマイズについてお届けします。
車を公道で走らせるうえで必須となるナンバープレートですが、日本の場合デザインの自由度が低く、ナンバープレート自体に関心を持つ方は多くないのではないかと思います。
一方、オーストラリアでは自分自身でナンバープレートの文字やデザインをアレンジできるため、通勤の最中にもなかなかユニークなナンバープレートを多く見かけます。
個人的に最も記憶に残っているのは、入庫してきたCIVICに取り付けられていたASIMOという登録番号(Registration number)のナンバープレートです。
ここまでストレートにホンダ愛を感じるナンバープレートには今後出会えないような気がします。
² ナンバープレートの基礎知識
まずはナンバープレートの必要性についてです。
ナンバープレートが必要となる理由は皆さんが認識している通り、車両の識別です。
そのため、複製は固く禁じられていますし、取り付けの方法に制限が設けられていたり、夜間でもナンバープレートを認識できるようにするためのライトの取り付けが義務付けられていたりします。
すなわち裏を返せば、車両の認識が容易に行えるのであればデザインの自由を与えられるということです。
一方、日本で与えられるナンバープレートに対する自由は、希望の番号の取得やご当地ナンバープレートの選択にとどまり、カスタムといえるほどの自由はあまりありません。
これは日本がオーストラリアに比べ厳しい法規制の下で車両の運行が許可しており、デザイン(配色やひらがな)によって車両の区分(第1種や第2種等)を表現しているためです。
したがってデザインの自由度が低いことについては仕方のない部分があります。
しかしながら車両のカスタムやデザインを楽しみたいと思われる方からすれば規制の緩和を求めたくなってしまうのは当然のことだとも思います。
オーストラリアでは州によって登録番号に用いる文字の組み合わせ方(AA-00-AA、AAA-000など)や下地のデザインに違いがあるものの、英字と数字の組み合わせで構成されるという点は例外なく同一であるため、登録番号の組み合わせによって単語や英文を表現している方が多くいらっしゃいます。
しかしそれらはあくまで原則であるため、ある一定の要件を満たせば先ほどお話しさせていただいたASIMOのように特別なナンバープレートの取得が可能になります。
こういったナンバープレートのデザインに対する考え方の違い一つをとっても日本とオーストラリアでは車に対する考え方が違うことを痛感します。
もっとも、日本のように法律で固く縛ることが車両の安全性などをより一層引き上げる方法の一つであることは間違いないため、個人的にはどちらが優れているかという結論は出せません。
しかし、ナンバープレートに関しては日本ももう少し自由度を与えられるのではないかと考えます。
² ナンバープレートのカスタマイズ
l ナンバープレートカスタマイズの方法
オーストラリアで最も有名なナンバープレートカスタマイズの方法はPPQ(Personalized Plates Queensland)という企業を経由して制作を依頼することのようです。
制作を依頼するというと少し仰々しく思われるかもしれませんが、インターネット上でほとんどの手続きを完了させられますし、14営業日以内に配送されるということなので、非常に手軽なものだと思います。
値段はまったく手頃ではないという点が玉に瑕ですが。
この企業は非常に多くのテンプレートを用意しており、そのテンプレートでつくられたナンバープレートを見かけない日はありません。
これ以降ではPPQでナンバープレートをカスタマイズする方法についてご紹介していきます。
l カスタマイズ方法紹介の動画および和訳
これ以降ではカスタマイズの方法についてお伝えしていきます。
PPQのサイト内に非常に簡潔にまとめられた発注方法の動画を見つけましたので、リンクにて説明を代用させていただきます。
https://www.ppq.com.au/videos/personalised-plates-101
l ナンバープレートの売買
オーストラリアではナンバープレートを売買することが可能です。
これは間違いなく日本にはない文化ですし、私自身このことを知った際には非常に驚きました。
先ほどご紹介した通り、オーストラリアでは比較的自由にナンバープレートを作成することができます。
それに伴い、登録番号は唯一無二の存在となります。
したがって、自分の欲しい登録番号が他者によってあらかじめ取得されていた場合、その番号の取得は不可能です。
しかしながら、どうしてもその番号が欲しいという方は一定数存在します。
そのため、多くの人が欲するであろう番号をあらかじめ購入、登録し、投機目的で販売することがあります。
最も有名と思われるサイトにMR PLATES(https://www.mrplates.com.au/)というものがあり、ここでは数多くのナンバープレートが売買されています。
私が見た中で最も高額なものは1万ドル(約9500万円)と、並大抵のスーパーカーすら凌駕する金額で取引されるものもあります。
もっともそんな高額なものは一握りであるわけですが、そういった特殊なものを除いても数十万円単位で取引されるものがほとんどですので、オーストラリア人の車に対する熱意というものは計り知れません。
オーストラリアは良くも悪くも極端な車文化であることを痛感しました。
Ø 整備
² ホイールアライメント
これ以降では整備の話題として、ホイールアライメントについてご紹介していきます。
ホイールアライメントは日本でも使われる言葉ですが、馴染みのない方には意味が一切通じない言葉の一つだと思います。
この言葉を直訳すると“ホイールの整列”となり、ホイールがどのように取り付けられているかを表します。
とはいえホイールがどのように取り付けられているかを表すといわれてピンとくる方はめったにいないと思いますので、今回はホイールアライメントに関する6つの言葉を軸にお届けします。
l トー
まずご紹介するのはトー(Toe)と呼ばれるものです。
トーとは英語でつま先を意味する言葉であり、ホイールが車両の中心線に対してどれだけ傾いているかを示す言葉です。
したがって、ホイールが内股になっているのか、がに股のようになっているのかをイメージしていただけるとよいと思います。
多くのホンダ車の場合、ホイールアライメントのうち調整可能なのはフロントのトーのみですが、日常的に使う際にもっとも重要な直進性を左右する調整項目であるため、ほかの項目とは一線を画すものであると考えています。
ü 役割
トーが果たす最も重要な役割は直進性の確保です。
トーに狂いがある車両はステアリングホイールをまっすぐにしているにもかかわらず右や左に逸れる、あるいはタイヤの摩耗量が急増することになります。
これはエンジンによって発生した力がホイールを介してどの方向に伝えるかはトーによって決定されるためです。
画像のような状況(狂い)がある場合、前述の通り車両の進行方向とステアリングホイールの角度が一致しなくなったり、タイヤの摩耗量が急増したりします。そのため、カスタマー自身が異常に気付き、ディーラーに症状を訴えることも少なからずあります。
特にオーストラリアでは日常的に段差(スピードハンプ等)を乗り越える機会があるため、アライメントが狂うことも多いのではないかと思います。
ü 調整方法
ここからはフロントトーの調整方法についてお伝えします。
フロントトーはタイロッドをどれだけタイロッドエンドに入れ込むかで変化するため、以下の写真にある青い線がひかれた部品およびそれにつながった黒いロッドを利用して調整します。
原理は至極シンプルで、ホイールの回転中心を軸としてタイロッドエンドがどれだけホイールを押し込むかによって変化するというものです。
とはいえ言葉での説明ではイメージが難しいと思いますので以下の画像をごらんください。
画像を見る限りでは非常にシンプルで簡単なように思えますが、実際に調整作業に当たっていると、その繊細さに苦労させられます。
先ほどご紹介した通り、タイロッドをどれだけタイロッドエンドに入れ込むかでトーは変化します。
原理は非常にシンプルですが、規定値内に収めるためには長さを0.1~0.2㎜単位で調整していかなくてはなりません。
そのうえ調整後はロックナットで両者を固定する必要があるのですが、ロックナットの締付時にもトーが変化してしまう場合があるため非常に厄介です。
基本的にホンダ車はホイールが完璧に車両の中心線と完全に並行である状態を基準としているため、並行をねらって調整するのですが、その際にわずかなズレが発生し、両方のホイールが左右のどちらかを向いてしまうと、車両はその方向に向かって進もうとするため直進性が確保できなくなってしまいます。
もっとも基準値付近に調整したのちにロックナットを締め付けるため誤差は非常に小さく、直進性に与える影響はあまり大きくありませんが、可能な限り良いパフォーマンスを発揮できるよう調整の際には慎重な作業を心がけています。
あれだけ大きな車体を持っていながら僅かな違いがあれほどの影響を与えると痛感できたのはオーストラリアに来てから最も大きな収穫の一つといえるかもしれません。
l キャンバー
続いてキャンバーについてです。
キャンバーとは進行方向から見たときにできるホイールの中心線と鉛直線とがつくる角度のことを言います。
キャンバーは車高を低くするとともに、旋回性能を変化させることができるため、カスタムの王道ともいえる部分であり、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
しかし、スポーツカーを除くと多くの場合、キャンバーを大きく変更する際には社外品に変更する必要があるためディーラーではあまりいじることのない項目に当たります。
ü 役割
近年キャンバーに求められる最も重要なことはコーナリング時に最大限タイヤと路面を接地させ、タイヤのグリップ力を最大限引き出すことです。
したがってキャンバーが過少あるいは過大になっている場合、コーナリング性能が低下してしまうということです。
同時に、タイヤが傾けば傾くほどタイヤの回転が内側あるいは外側に向くことになるためタイヤの摩耗量が増加するといったこともあります。
このことからキャンバーが左右で釣り合っていない場合には直進性能にも影響を与えます。
もっとも社外部品をつけておらず、車両を何かにぶつけたということがなければそう大きく変化しないものでもあるため、大きく調整できるような機構は設けられていないことがほとんどです。
l キャスター
キャスターとは車両を横方向から見たときにフロントホイールの中心を通る鉛直線とショックアブソーバー上部のマウンティングブロック中心とロアアーム部のボールジョイント中心を結ぶ直線がなす角度のことを表します。
私の知る限りではキャスターを純正状態で変更できるホンダ車はありませんので、ここでは簡潔にその役割についてご紹介します。
ü 役割
キャスターに求められる最も重要な役割は、ホイールを直進状態に復元させることです。
この状況を言葉で表すことは難しいため画像から直観的に理解していただければよいかと思います。
l SAI(キングピン傾角)
SAIとはキングピン傾角とも呼ばれるもので、多くのホンダ車の場合、ショックアブソーバー上部のマウンティングブロック中心とロアアーム部のボールジョイント中心を結ぶ直線と鉛直線がつくる角度のことを表します。
また、このSAIが変化することでキングピンオフセット量(進行方向から見たときにSAIの路面交点とホイールの中心線の路面交点との距離)が変化します。
このキングピンオフセット量は後ほど紹介するインクルーテッドアングルを理解するうえで重要になりますので、後ほどあらためてご紹介します。
しかし、この角度もキャンバーと同じく大きく調整できるようには設計されていないうえに車両をぶつける、あるいは足回りの部品を交換するといったことでない限り基準値をはずれることはおおくありません。
したがってSAI単体での理解はあまり重要ではありませんので、上記の紹介にとどめさせていただきます。
l キングピンオフセット
キングピンオフセット(スクラブ半径)とは進行方向から見たときのSAIの路面交点とホイールの中心線の路面交点との距離を表します。
すなわち、キングピンオフセットはSAIとキャンバーによって決定されるということです。
また、先ほどご紹介したSAIが関係するものにも関わらずキングピン傾角と呼ばれるのは慣例的なものであるためで、実際にはキングピンという部品が一切関係していなくてもキングピン傾角と呼ばれます。
ü 役割
キングピンオフセットの大小は操舵感に大きく関わってきます。キングピンオフセットとは回転軸とおもりの距離と捉えることができるため、小さければ小さいほどタイヤを回転させるために必要な力を減らすことができます。
この原理は、腕を伸ばした状態でおもりを持ち、かつ、上体を左右にひねりおもりを左右に振る動作を考えてみてください。
腕が下がり、おもりが体の近くにある場合は上体をひねる力をあまり必要としませんが、腕が上がった状態ではかなり辛いと思います。
加えて実車の場合はタイヤと地面との摩擦があるため、よりいっそう操舵に力が必要となります。
したがって公道を走る乗用車の場合はキングピンオフセットが少ない方がよいといわれています。
Ø 最後に
季節の変わり目を迎え、オーストラリアでは春を感じることが増えてきました。
日本のように満開の桜で春を感じるということはできていませんが、桜を観たという友人もいるため、知らず知らずのうちに時がたっていることを痛感しました。
日本では秋を迎えつつあり、紅葉などで季節の移ろいを感じ取ることができることをうらやましく思いつつ、3か月という短い残り時間を有意義なものにできるよう努力してまいります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
来月も皆様のご来訪をお待ちしております。




