10月分研修レポート

 皆様ご無沙汰しております。Yudaiです。

 

オーストラリアでも季節の変わり目を迎え、天気が不安定な日が多くなってきました。

また、デイライトセービングタイムがはじまり、日本との時差が1時間から2時間へと変わりました。些細な変化ではありますが日本との距離を感じるようになってしまいました。

 

 

さて、今回は以下の内容でお届けします。

 

Ø  オーストラリアの交通事情

²  速度制限

l  スピードカメラ

Ø  整備

²  ホイール及びタイヤの交換

l  脱着方法

ü  各手順の説明

ü  トルクについて

Ø  最後に

 

 

Ø  速度制限


² スピードカメラ

 

日本ではオービスとしてその存在が有名ですが、オーストラリアでも同様の速度超過取り締まりカメラが設置されています。

特にシドニーにはその数が多く、検挙数も多い傾向があります。

その理由は、設置数の多さ及び許容範囲の狭さに代表されると考えています。

日本でオービスを光らせるためには大幅な速度超過が必要ですが、オーストラリアではわずか数km/hの超過で取り締まりの対象となります。

したがって不慣れな道で周りに気を取られ、制限速度をわずか数km/h超過した暁には、ナンバープレートから住所が特定され、違反した旨を報せる手紙が届くということになります。

 

これらの設置箇所はNSWが運営する以下のページから確認することができます。

https://roadsafety.transport.nsw.gov.au/speeding/speedcameras/current-locations.html

 

また、その設置箇所の直前にはカメラの設置を予告する看板が設置されています。

肖像権の問題があるため、そういった看板を設置しなくてはならない理由もあるとは思いますが、事故の多発する交差点等で車両の速度を制限することを第一に考えているということであれば許容範囲の狭さにも合点がいきます。

 

 

Ø  整備

 

季節の変わり目を迎え、そろそろスタッドレスタイヤへの交換を考え始められる方も多くなってきたのではないでしょうか。

 

したがって、今回はホイールの脱着に焦点を当てた内容でお届けしようと思います。

  

 

²  脱着方法

 

1. トルクダウン

2. ジャッキアップ

3.ホイールナット取り外し

4.ホイール取外し

5.ホイール取り付け

6.ホイールナット取り付け

7.ジャッキダウン

8.ホイールナット本締め

 

l  各手順の詳細

 

    トルクダウン

 

まず、ホイールを車体に取り付けているナットを緩めます。

最初に緩めなくても大きな問題はないのですが、ホイールが浮いている状態でナットを緩めようとするとホイールが回転してしまうため、インパクトレンチをお持ちでない場合は最初に緩めておくことをお勧めします。

 

 

    ジャッキアップ

 

続いて、ホイールを取り外すためにタイヤを浮かせていきます。

 

この際に最も重要なのは、車両が安定していることを確認することです。

 

ホイール付近にはジャッキアップのために補強された部分がもうけられています(メーカー、車両によって異なるため取扱説明書等を参照してください)。



この補強部分にパンタグラフジャッキを当て、車両を持ち上げていきます。



その際には持ち上げる車輪と反対(前輪を持ち上げる場合は後輪に)輪留めを使用し、車両が不意に動くことを防止することをおすすめします。

 

 

⒊ホイールナット取り外し

 

車両を持ち上げたら、ホイールを取り外します。

 

すでにホイールナットのトルクは緩めてあるため、工具を軽く当ててやるだけでナットはすぐに取り外すことができると思います。

ナットがスムーズに取り外せない場合は、ホイールナットあるいはハブボルト(ホイールナットと対になるボルト)が痛んでいることが考えられます。上記のいずれか(あるいは両方)が痛んだ状態で走行を続けてしまうと、ホイールの脱落につながる恐れがあるため、かかりつけの整備工場に相談されることをお勧めします。

 

 

    ホイール取外し

 

ホイールナットを取り外したらいよいよホイールの取り外しです。

 

この作業時には、ハブボルトによってホイールに傷をつけないよう気を付けなくてはなりません。

とはいえ、SUVなどではホイール及びタイヤが非常に重いため、ホイールを引き抜く際に持ち上げきれず、ホール(ボルトを貫通させるための孔)がハブボルトのネジ部によって傷つくことは少なくないように思います。

このような事故を完全に防ぐことは難しいですが、最大限リスクを減らすための方法を一つご紹介します。

 

それは、反動をつけてホイールを取り外すという、一度ホイールを車体側に押し込んでから引き抜くという方法です。

 

この方法について詳細な説明をすることは難しいので、反動をつけた方が重いものを扱えるという感覚的な理解をしていただければ十分かと思います。

ただし、引き抜く際にバランスを崩すことがありますので、足元には十分ご注意ください。

 

 

    ホイール取り付け

 

この際も取り外し時と同様に、ホールが傷つかないよう注意して作業に当たる必要があります。

加えて、今度はホールにボルトを貫通させなくてはなりません。

したがって、より難易度は取り外し時と比較して高くなります。

しかし、これからご説明する点をあらかじめ押さえておけば比較的容易に取り付けられるのではないかと思います。

 

    上部2本のハブボルトを結ぶ線が地面と平行になる位置までハブボルト側を回転させる

    ホールがハブボルトの位置と同じになるようホイールを回転させる

    ホールの位置が変わらないようにしつつ、足の甲にホイールを乗せる

    タイヤの外周上(4時および8時)に手を当てる

    足の甲でホイールを持ち上げつつ、手でホールの位置を微調整してホイールを取り付ける

 

 

    ホイールナット取り付け

 

ホイールがハブボルトに取り付けられたら、ホイールナットを取り付けていきます。

 

その際、最下部にあるボルトに対してナットを最初に取り付けることで、ホイールのアンバランスを最小限に抑えることができます。

 

通常、ハブボルトにホイールを乗せただけの状態では、ホイール上部が車体側に入り込み、下部は反対側に突き出ます。

これはホイールがコの字であることに由来します。

すなわち、ホイールの重量バランスはホールを基準とした際には車体側に偏るということです。

したがって、最下部をナットで締め付ければホイールはハブ(車体側にあるホイールをとりつけるためのベース)に対して密着します。

 

ここでホイールとハブを密着させておくことで今後の作業が容易になります。

ホイールとハブが密着すると、ハブボルトがより多く露出するため、ホイールナットを指の力で着座(ナットあるいはボルトが締付対象と接触している状態)させることができます。

 

すべてのホイールナットがホイールに対して着座したら、工具を用いて写真のような順序で締め付けていきます。



この際に大きな力を加える必要はありません。

車載工具を用いる場合は、その端をぎゅっと押し込む程度で十分です。

 

この作業で最も重要なのは、ホイールナットとホイールを完全に着座させることです。

以前にも着座という言葉を用いましたが、先ほどの状態では完全に着座しているとは言えません。

それは、ホイールナットとホイールは特殊な接触面を持っているためです。

通常のナットやボルトであれば締付対象も平面であり、指の力だけで完全に着座させることは容易です。

一方、極端に表せばホイールナットは凸型、ホイールは凹型になっています。

したがって、ホイールがハブボルトに乗っている状態にある場合、凸型のホイールナットはホイールに妨げられ奥まで入り込むことができません。

しかし、奥まで入り込むことができなければ、完全に着座することはありません。

この状況を打破するために、ホイールナットにある程度大きな力を与えます。

これによりホイールナットはホイールの内側に入り込もうとします。

それに伴い、ホイールは持ち上げられるため、両者は完全に着座します。

 

このように特殊な形状をしているのは、ホイールが高速で回転し、多大な遠心力を発生させるためです。

すなわち、回転中心に対して重量のアンバランスが発生すると、それが上下あるいは横方向への振動へとなってしまい、運転の安定性に影響をあたえるということに起因します。

 

したがって、このような状況をさけるために回転の中心から最外縁までの距離を均等にしなくてはなりません。

 

そのために考案されたのが、これらの形状の使用です。

これらを使用することで、ボルトを中心としたホールまでの距離は上下左右で等しくなり、回転中心に対しても均等な遠心力を発生させることが可能になります。

 

素晴らしい仕組みではありますが、それに伴い注意しなくてはならない点もあります。

それはメーカー等により、ホイールおよびホイールナットの形状が異なるという点です。

仮にそれぞれが合致しない組み合わせであっても、多くの場合で取り付けることは可能です。

しかしながら、そういった組み合わせで使用してしまうと接触面が小さくなってしまうため、ホイールナットのゆるみが発生しやすくなってしまいます。

当然、ホイールナットが緩めば脱落の恐れが高まるため、自身で新たにホイールを購入される際には、ホイールナットが適合するものであるかも同時にご確認ください。

 

 

    ジャッキダウン

 

ホイールナットの仮締めが完了したらタイヤを接地させます。

 

この工程において注意すべきことは多くありません。

しいて挙げるなら車両が不安定にならないよう、ゆっくりとジャッキを扱う必要があることに限定されるように思います。

 

 

    ホイールナット本締め

 

タイヤが接地したらいよいよ最終工程に入ります。

 

この工程を忘れることで起こる脱輪事故の割合は非常に高いものですので、確実に実施してください。

 

この作業を行う際にはトルクレンチを用意することが望ましいのですが、車両に常備されているような工具ではありませんので、使用しない方法についても記述していこうと思います。

しかし、トルクレンチは比較的安価に購入できる工具ですので、季節ごとに自らホイールを交換されるという場合にはぜひ購入を検討してみてください。

 

 

まずはトルクについての基礎知識からお届けします。

 

トルクとは、ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸の周りの力のモーメントと定義されています。

言葉だけでは理解が難しいものですが、ネジの締付に関するトルクに限定していえば、どれだけ強く締め付けるのか、と要約できます。

すなわち、どれだけ強く締め付けるのかを、客観的に理解できるように定められた、センチメートルのような単位です。

 

トルクが単位である以上、それを示す記号も存在します。

代表的なものはNmであり、1 Nmはある定点から1メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に1ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメントと定義されています。

難しい説明ではありますが、1mのスパナの端に1N(約0.1㎏)の力をかけたときにネジにかかる(ネジを回そうとする)力のことを表します。

 

また、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この単位は数式として見ることができます。

すなわち、N(力)×m(距離)ということです。

多くのホンダ車のホイールナット締付トルクに採用されている108Nmを例に考えるとこのようになります。

 

1.       108Nm=54N×2m

 

2.       108Nm=108N×1m

 

3.       108Nm=216N×0.5m

 

これにより、工具に掛ける力(N)、ネジと工具に力をかける点の距離(m)の2つがわかれば誰もが等しい力をネジに与えることが可能になるといえます。この原理を利用することでトルクレンチを用いずともある程度のトルク管理は可能になります。

 

 

それを利用し、車載工具で108Nmの締付トルクを再現する方法をお届けします。

 

1.       車載工具の柄がホイールナットを中心としておよそ2時を示すように取り付ける

2.       (体重が55㎏と仮定)車載工具に設けられたジャッキ用の孔(ホイールナットから0.2m)に靴の中心をあわせゆっくりと全体重をかけます。(108Nm≒550N×0.2m



3.       上記の手順を仮締めの際にも用いた締付の順序で繰り返します。

 

以上が車載工具を用いた場合の本締めの方法です。

 

続いてはトルクレンチを用いた本締めの方法です。

 

1.       トルクレンチの設定値を108Nmにする

2.       トルクレンチのグリップの中心に中指をかける

3.       3秒程度かけてクリック音がするまで締め付ける

4.       クリック音が聞こえるまで締め付ける作業を仮締めの際に用いた締付の順序で繰り返す

 

以上がトルクレンチを用いた際の本締めの方法です。

 

非常に簡単な作業ではありますが、確実に実施することが求められます。

トルクが小さすぎれば緩みの原因となり、大きすぎれば部品の損傷の原因となります。

いずれもホイールの脱落につながる大きな問題ですので十分に注意してください。

しかしながら、ホイールナットを痛めるほどのトルクで締め付けることは容易ではありませんので、多少オーバーすることに対して過敏になる必要はないと考えています。

 

私自身明確な解答を得たわけではないため断言はできませんが、ホイールナットに用いられる強度区分12.9のm14の降伏点(ボルトが本来の能力を発揮できなくなる状態に陥るまでに必要なトルク)は350Nmに近いため、よほどのことがない限り部品を損傷させることはないと考えています。

 

しかし、繰り返し力を加えられることでナットやボルトも痛みますので、継続的に規定トルクをオーバーするような作業はお勧めしません。

 

 

最後に

 

日本では肌寒さを感じる日も増えてきたのではないでしょうか?

本格的な秋を迎え、寒暖差も大きくなっていると思いますので、皆様どうかご自愛ください。

 

それでは今回はこのあたりで失礼いたします。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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